2017年最後の投稿


2017年も残すところあと数時間となってので、今年を振り返ってみる。

長い夏休みがあけ、やっと始まった音楽院の授業。
サンパウロ州からの予算削減により奨学金オーディションが開催されず、この先どうやって生活していこうと不安になり、貯金を崩しながら、どんな仕事も引き受け、時には路上で演奏したりしたっけ。
学生のデモの甲斐もあって、5月に奨学金のオーディションが開催された。
ブラジルの伝統ある音楽"ショーロ"を演奏するグループの演奏員に合格して、そのあとは不思議なことに演奏の機会に恵まれ、サンパウロでサックス教室もはじめることができた。
ブラジルに来てからというもの、「だめかも…」と思うときに必ずチャンスに恵まれる…。きっとブラジルと縁があると、いつも感じさせられる。
また、今年は3年ぶりに一時帰国し、家族や友人に会うことができた。
約1週間の滞在で、時差ボケもあり、まさに夢のようだった。

そんな2017年で一番心に残っている言葉がある。
私の通う音楽院は、卒業する時に任意で卒業コンサートができるのだが、その日は友達でドラマーCarolの卒業コンサートだった。
彼女はMPB/Jazz学科で初の女性ドラマー卒業生、NAGANOドラム主催のオーディションで見事優勝し、現在同メーカーのエンドーサーとして活躍している。(ブラジルにて女性の器楽奏者の割合はまだまだ少ない)
彼女はとても明るい性格で友達も多く、コンサートは超満員になり、開始前にギタリストで音楽院の先生でもあるFabio Lealが挨拶をする。

「彼女は5年間の音楽学校生活を通して沢山の仲間に出会いました。その証として、こうして沢山の人が集まっています。音楽のおかげで私たちは集まるように思えますが、私たちの集まりが音楽を生んでいるのです。人がいないところに音楽はうまれません。人がいるところに音楽がうまれるのです。大切なのは"人"であるということです。」

ポルトガル語から日本語にするとちょっと意味が伝わりにくいかもしれない。
Fabinhoが言いたいのは音楽をするのは"人"だということなのだ。
人間的に魅力的な人の周りには自然が集まり、そこに良い音楽ができるという。
「演奏の技術とか、コマーシャル的なものに拘らず、もっと人らしく演奏しろ」
という意味合いもこめられている。こういう先生がいるおかげで、私たちは"成績"を気にせずに学べるのである。音楽院で学ぶのは技術だけじゃない。

さて、終わりに。
ついにブラジル生活も3年過ぎ、最近"お客様扱い"されなくなって凄く嬉しい。
1年目は「日本人がブラジル音楽やっている!!」とチヤホヤされて何かと目立っていた。
実はそれが嫌で嫌で仕方なかった。
ブラジル人は褒めるのが好きだと知っていたし、「何かと得がありそうだから外国人と友達になりたい」ってただそれだけの人も多かった。
"お客様"から"ファミリー"になるのって、簡単にはいかない。
時間の経過もあるが、普段の何気ないやりとりから、私が本当にブラジル音楽が好きで、そして何よりブラジルが好きということをわかってもらえたようだ。今年は演奏の機会を任されることも増えたし、現場で「この子は日本人なのにブラジル音楽吹いているんですよ!」と紹介されることもなくなって、やっとスタート地点に立てたような気がする。

おっと、そろそろ大晦日パーティーの買出しに行かなくてはならないので今日はここまで。
みなさま、良いお年を!!

(写真/2017年最後の演奏の様子)

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